【シンジュウエンド】30話「いい奴」ネタバレ ストーリー&登場人物│都の失言、鈴の進路と佑の想い
漫画「シンジュウエンド」は漫画アプリ「マンガMee」で連載のマンガMeeオジリナル作品です。
不倫、死別、晒し、イジメ、家庭崩壊など様々な理由によって死を選ぼうとしたサラリーマンと女子高生の物語で、著者はドラマ化もされた人気漫画「サレタガワのブルー」のセモトちか先生です。
この記事ではシンジュウエンド30話「いい奴」のストーリーと登場人物を分かりやすくまとめています。
彼らを絶望させた最低の人物、最悪の出来事とは?
どん底に落ちた人生を彼らはどうやり直していくのか?
「シンジュウエンド」の物語を詳しく解き明かします!
「シンジュウエンド」あらすじ
イケメンで爽やかな営業マン・遠藤真志25歳。
社内では若手のエースとして期待され、家に帰ればかわいくて優しい妻と、世界一愛らしい娘が出迎えてくれる。
仕事も家庭も順調そのもの。そんな幸せの絶頂だったある日、玄関に見知らぬ男物の靴があって…?
人生に絶望した男と、人生を諦めかけた女子高生の出会いがもたらす、“終わり”と“始まり” とは――。
『サレタガワのブルー』の著者・セモトちかが描く、読めば“死にたくなくなる”再生の物語。
「シンジュウエンド」30話の登場人物
羽住 鈴(はすみ すず)
18歳 高校3年生
父は交通事故で他界。
母親と二人暮らしだったが、母親が毒親化した為、佐賀県の父方の祖母宅で新しく生活を始める。
鈴田 佑(すずた ゆう)
高校3年生
鈴の転校先のクラスメイト
あだ名は『リンダ』
神童と呼ばれ、地元では有名な裕福な家の息子。
父はバイクショップ「バイクのリンダ」代表取締役社長。
父には愛人が5人おり、佑は正妻の息子で一人っ子。
愛人たちの子供(佑の異母兄弟)は総勢11人。
佐田山 都(さたやま みやこ)
高校3年生
鈴の転校先のクラスメイト
「シンジュウエンド」30話のストーリー(ネタバレあり)
シンジュウエンド30話「いい奴」は、都から鈴の進路を聞いた佑が、帰る鈴を追いかけるところから始まります。
以下、シンジュウエンド30話のネタバレを含みます。
未読の方はご注意下さいね。
30話「いい奴」
うちなら告白してもあっさりフラれる事はないかも…。
ずっと好きだったこの気持ちを、伝えるだけでも伝えたい。
都は佑と過ごした幼少の記憶を思い出し、自分の気持ちを明かしてしまおうかと佑を見つめた。
しかし、その思いはあっさりとへし折られる事になる。
降りしきる雨音が響く中、佑が想っていたのは鈴一人だったからだ。
「…羽住 大丈夫かな
朝 傘持ってきてなかったけど」
こんな事を呟かれ、さすがに察さないほど鈍感ではなかった。
そっかぁ~!! そうよね!!
2人で雨見てるこのシチュエーションにエモさ感じとるのうちだけよね~!笑笑
雨を眺める男女二人。
一人は相手と過ごした幼少の思い出にキュンとして…
片や一方はここに居ない違う女性の事を考えている。
佑の頭の中にはもう羽住鈴しかいない。
そう気付いたら無性に悔しくて腹立たしくて、都の心は一気にどす黒く染まった。
ずっと昔から、小さい頃からずっと何年も片思いを続けていたのに、いきなり登場した転校生に心を奪われる。
鈴は明るくて可愛くて気が利いてユーモアもあって美少女で…そりゃ好きにもなるよね…!?
だからって…きっつ…こんなのもう笑うしかない。
「…は 羽住さん …って 卒業したら と…東京で 就職するんやって!」
頭の中では鈴への良くない感情がぐるぐる回り、気付けば都は廊下で立ち聞きした鈴と先生の会話を佑にぶち撒けていた。
こうなってしまってはもう、口から出る言葉は止まらない。
好きな人のそばにいたいらしい、うまくいくといいよね、可愛いし絶対うまくいくよね、年上のイケメンらしいよ、、、
あれ、待って、こんな事言いたいわけじゃない。
でもダメだどうしよう口が勝手に動いてく…
今は離れ離れだけど近くにいったらラブラブになったりして、一緒に住んだりするんじゃないかな…!!
「知らんけど!!ははは…」
…ははは……は…
引き攣った笑顔で鈴の事を捲し立てた都の口はようやく止まった。
けれどもう遅い。
都が見たのはショックを受けた佑の顔だった。
佑が傷付いている。
暗い面持ちのまま佑は絞り出すように都に語り掛けた。
「…根は悪い奴じゃないって俺は知ってるけど」
その人のことを喋りすぎる性格はいつか損するぞ。
自分の吐いた言葉の過ち、そして佑の言葉と表情に都は動くことができなかった。
その場で立ち尽くす都を置いて、豪雨に変わりつつある天候に、気をつけて帰れよと佑はその場を離れた。
二人で向かっていた先ではなく、元来た方へ、佑は引き返す。
なんで戻っていくの、羽住さんを探しに行くの?
いや、それよりも…あんな表情の佑は初めて見た。
あんな傷付いた顔、今まで一度だって見た事ない。
そんなに佑を傷付けてしまったのか。
好きなのに?
好きな人を傷付けたくなんてないのに…
鈴が東京へ行くのは本当だが、うちが言うべきじゃなかった。
鈴の想い人の事も、ある事ない事、噂話みたいに話していいことじゃない。
そんなの…性格が悪すぎる…。
好きな人を獲られて、腹いせにぶちまけて、好きな人を傷付けて。
「惨め…だっさ!カッコ悪…っ」
都は奥歯を噛みしめ、しばらくその場から動けなかった。
引き返した佑はその足で進路指導室へ向かった。
他の生徒と先生が話し合いをしていたが「失礼します」と構わず戸を開ける。
佑は非礼を詫び、以前担任に提出した進路希望用紙の返却を求めた。
進路は佐賀K大学の推薦枠とずいぶん前から決定していたが、書き直す理由ができたのだ。
佑の突然の申し出に担任も戸惑っていたが、親御さんと慎重に話し合うようにと用紙を手渡してくれた。
用紙を受け取り明日提出する旨を伝え、鈴はもう帰ったかと聞くと、10分くらい前にと担任は教えてくれる。
10分前なら急がないと…。
佑は廊下を足早に駆け、階段を降り、教室に置いてあったリュックを背負って教室を飛び出した。
鈴の進路希望は東京での就職。
佐賀と東京の距離は約1200キロほど。
飛行機を使えば片道2~3時間ほどだ。
もちろん遠いが…会えない距離ではない。
けれど、鈴とはこの1か月。
ほぼ毎日一緒に過ごしてきた。
登下校のバス。
屋上。
当たり前のように会っている今の距離と、頑張らなければ会えない距離は雲泥の差だ。
走る佑が1階の昇降口に着くと、ちょうど鈴が玄関のガラス扉の前に立っていた。
良かった、追いついた…!
「羽住…!」
呼びかけられた鈴が振り返る。
いつもは冷静な佑が、息を切らして走り寄ってくる。
傘持って来てなかっただろう一緒に帰ろうと、ハァハァと呼吸を乱して。
土砂降りの雨の中、バス停までの道を相合傘で歩く。
進路指導が終わって帰ろうと思っていたところ雨がひどく、鈴は昇降口で途方に暮れていたのだ。
そこへ息せき切って佑が傘を持って来てくれた。
救世主だと鈴はお礼を言う。
ところで、佑は何でそんなに息を切らして汗をかいているのか。
鈴が聞くと、傘を持っていない鈴が10分前に帰ったと先生から聞いたからと佑は言った。
!
それで走って来てくれたとは。
めっちゃいい奴!と鈴が感動すると、そう言われた佑はいまいちピンと来ていないようだった。
どうやら「いい奴」と言われたのは初めてだったらしい。
今まで人から受けた評価は「変わり者」「変な奴」「笑わない」。
そんな称号ばかりだ。
だから実母にも怖がられてきたと佑が言うと、変わり者には違いないと鈴は笑った。
でも鈴は佑の優しさを知っている。
一見するとド直球で無愛想で、取っつきにくさはあるけれど、逆に言えば必要な事はきちんと言葉にしてくれる優しさを持っている。
誤解される事も多い性格なのだろうが、鈴は佑を怖いとは思わない。
むしろ転校してきて不安だった時に友達になったのが佑で良かったと鈴は心から思っている。
そんな話をしていると、学校から最寄りのバス停に到着した。
鈴は停留所の屋根の下に入り、ハンカチを取り出して佑に差し出す。
鈴が濡れないよう気遣っていた佑の左肩がびしょ濡れになっていたのだ。
これも佑の優しさ。
傘を畳む佑を見て、鈴は雨が滴るほどに濡れた佑の肩をハンカチで拭き始めた。
近付く二人の距離。
佑は鈴に言わなければいけない事がある。
「……羽住
卒業したら 行くのか?東京」
鈴は佑を見上げた。
佑はハンカチを持った鈴の左手を掴む。
鈴と出会ってから、まだたったの1か月。
それまでずっと、家でも学校でも独りだった。
それが楽だったし、その道を選んだのは自分だ。
けれど、もう、鈴がいない未来を想像できない。
離れたくない。
一緒にいてほしい。
佑は自分の素直な気持ちを鈴にぶつける。
「…考え直せ 就職なら佐賀でもできる
…行くなよ さびしいだろうが」
掴んだ鈴の手を佑はギュっと握った。
「…え」
佑と繋がった手から手へ熱が伝わったかのように、鈴の頬は紅潮する。
しかし、突然の言葉にすぐに何も返せなかった。
一瞬の静寂の中、降りしきる雨音だけが二人を包んでいた。
To Be Continued
セリフ引用:マンガMee
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