【シンジュウエンド】17話「おっとろし」ネタバレ ストーリー&登場人物│佐賀の祖母宅で始まる鈴の新生活

漫画「シンジュウエンド」は漫画アプリ「マンガMee」で連載のマンガMeeオジリナル作品です。
不倫、死別、晒し、イジメ、家庭崩壊など様々な理由によって死を選ぼうとしたサラリーマンと女子高生の物語で、著者はドラマ化もされた人気漫画「サレタガワのブルー」のセモトちか先生です。
この記事ではシンジュウエンド17話「おっとろし」のストーリーと登場人物を分かりやすくまとめています。
彼らを絶望させた最低の人物、最悪の出来事とは?
どん底に落ちた人生を彼らはどうやり直していくのか?
「シンジュウエンド」の物語を詳しく解き明かします!
「シンジュウエンド」あらすじ

イケメンで爽やかな営業マン・遠藤真志25歳。
社内では若手のエースとして期待され、家に帰ればかわいくて優しい妻と、世界一愛らしい娘が出迎えてくれる。
仕事も家庭も順調そのもの。そんな幸せの絶頂だったある日、玄関に見知らぬ男物の靴があって…?
人生に絶望した男と、人生を諦めかけた女子高生の出会いがもたらす、“終わり”と“始まり” とは――。
『サレタガワのブルー』の著者・セモトちかが描く、読めば“死にたくなくなる”再生の物語。
「シンジュウエンド」17話の登場人物

遠藤 真志(えんどう しんじ)
25歳 サラリーマン。
妻・敦子、娘・未来の3人家族。
ハーモニー光電 北町営業所に勤務。
妻の自殺により父子家庭となる。
羽住 鈴(はすみ すず)
18歳 高校3年生
父は交通事故により他界。母と二人暮らし。
毒親化した母親と距離を置く為、佐賀県の祖母宅で新しく生活を始める。
羽住 キヌエ(はすみ きぬえ)
73歳
鈴の父方の祖母
佐賀県で一人「羽住酒店」を営んでいる。
鈴が母元を離れてからは鈴の保護者となり、佐賀県で二人で暮らすようになる。
「シンジュウエンド」17話のストーリー(ネタバレあり)

シンジュウエンド17話「おっとろし」は、佐賀県に住む祖母の元へ到着した鈴の初日のお話です。
以下、シンジュウエンド17話のネタバレを含みます。
未読の方はご注意下さいね。
17話「おっとろし」


閑散とした早朝の空港。
真志は未来の待つ家路に、鈴は祖母の待つ佐賀に、それぞれの道を歩き出した。
二人を繋ぐのはスマホのメッセージ。
言葉は交わさない。
毎日スタンプ1つだけ。
それが条件ではあったけれど、真志と繋がるそのスタンプは鈴が未来へと歩む為の「灯火」だ。

『九州佐賀国際空港』
到着口から出たものの、見知らぬ土地に一人放り出されたようで鈴は緊張した。
祖母が空港まで迎えに来ると言ってくれたが見当たらない。
鈴が心細く辺りを見渡していると、鈴の姿を見付けた祖母が駆け寄ってきた。
「鈴…!」
鈴を見付けるなり、祖母は涙を流した。
鈴の境遇を知らなかった罪悪感、そして鈴と会えた喜び。
色んな感情がない交ぜになった、鈴を包み込むような笑顔で泣いていた。
祖母と会えた安心感からか、鈴も子供のように泣きじゃくった。

田んぼが広がるのどかな田舎道を祖母・キヌエが運転する軽トラが走る。
運転するキヌエと助手席に乗った鈴は、真志の話に花を咲かせていた。
真志はどんな人なのかと尋ねるキヌエに、鈴は頬を染め、いい人でイケメンで、運命の人!と声を弾ませた。
恋する鈴につられるように顔を赤らめたキヌエは「んま~!おっとろし!」とつぶやく。
おっとろし??
どういう意味だろう。
言葉の響きは「恐ろしい」に似ているけれど…
キヌエが言うには、驚いた時につい出てしまう言葉らしい。
キヌエの亡くなった夫、鈴にとっては祖父の口癖で、嬉しい事でも何でもビックリしたら「おっとろし!」と言っていたのだとか。
祖父は鈴が2歳の時に亡くなっており、鈴の記憶には残っていない。
写真でしか見たことのない祖父だったが、優しそうな顔をしていた。
キヌエは鈴に、亡き夫との思い出を嬉しそうに話してくれた。
祖父はキヌエの12歳年上で、若い頃はハンサムだったと言う。
キヌエと祖父が出会った当時、その頃の結婚相手は親が選ぶのが当たり前で、恋愛結婚は珍しく、そもそも許してもらえるような時代では無かったそうだ。
周囲の大反対を受ける中、一緒になれないのならば死んだ方がいいと二人で崖の上に立った事もあると、キヌエは笑いながら言った。
今でこそ笑い話に出来ているが、当時の二人の恋愛は現代では考えられない程の抑圧であっただろう。
それでもお互い強い意志を持ち、キヌエと祖父は結婚した。
そして子が生まれ、子が鈴を授かった。
鈴が想像すら出来ないような辛い経験もあっただろうが、今のキヌエはそんな悲壮を微塵も感じさせないほどに幸せそうであった。
あの時、人生を嘆いて死ななくて良かった。
こんなに可愛い鈴のおばあちゃんになれたのだから。
目の前に逃げ出したい事が重なったとしても、いつか、それが遠い未来であったとしても、「死ななくて良かった」と、そう思えたらいいとキヌエは鈴に教えてくれた。
それだけで優勝!と笑うキヌエは、鈴の心を優しく温めてくれた。

その日の内に鈴と祖母は市役所の児童相談課へ赴き、家庭の事情を相談した。
児童相談所の職員も立ち合い、母に電話で祖母の元で正式に生活できるよう説得してもらった。
鈴がいじめに遭っていた件は事実関係を文章にし、高校と教育委員会に報告するそうだ。
転入先の高校は候補の中から良さそうな学校を選び、翌日にはキヌエと共に見学に行った。
その三日後には転入試験を受け、見事合格。
キヌエ宅から近く、学力の折り合いも付き、制服も可愛いその学校で、鈴の高校生活が再スタートする事となった。

順調すぎるほど進む展開に、鈴は真志の言葉を思い出す。
真志が鈴を助けてくれたように、「助けを求める子供」を救いたいと言う大人は、鈴が思っている以上に本当にたくさんいた。
制服を着た鈴を可愛いと褒めてくれるキヌエもそのひとりだ。
以前の学校ではセーラー服だったが、今度の制服はブレザーだ。
上下ブラウン系でシックにまとめられ、チェックのリボンとスカートが可愛く鈴のテンションも上がる。
鈴の初登校を「たのしんでー!!」と笑顔で見送ってくれたキヌエに、鈴は照れたように手を振り返した。

キヌエ宅から最寄りのバス停。
改めて時刻表を確認すると、バスは2時間に1本しかなかった。
予想はしていたが今まで住んでいた地域とは交通機関の事情もかなり異なっているのを感じる。
2時間も間が空くという事は…これを逃したら遅刻確定だろう。
鈴ははたと思いつく。
驚いた時に使う魔法の言葉。
「あ 『おっとろし』発動チャンス!?ぬふっ」
心の中で呟けば良かったものの、誰もいないと思い口に出していた。
しかも、ぬふっという奇妙な笑い声付きで。
ふと、後ろに気配を感じ鈴が振り向くと、いつの間にか人が立っていた。
え 聞かれた!? はっっっず…!
顔が真っ赤になるほど恥ずかしかったが、よく見ると耳にイヤホンをしている。
何か聞いていたとすれば…鈴の声は聞こえていないはず。
セーフ…かもしれない。
安堵した鈴が落ち着いてイヤホンの彼を見やると、鈴と同じ制服を着ていた。
鈴がこれから転入する学校の生徒だろう。
それに気づいた鈴はとっさに声を掛けていた。
今日から転校して来た事を伝え、高校の雰囲気を聞きたかったのだ。
しかし、彼は何も返事する事なく、声を掛けたと同時に到着したバスに乗り込んでしまった。
無視された事も悲しかったが、イヤホンで聞こえていないかもしれない相手に一人で喋ってしまった事も恥ずかしい。

鈴も同じバスに乗り込んだが、イヤホンの彼を見る事が出来ず、座席でバッグを抱え窓の外に顔を向けた。
初日から出鼻をくじかれたような出来事に、鈴は少しナーバスになってしまう。
知り合いは祖母だけの慣れない土地で、上手くやっていけるだろうか。
高校3年という微妙な時期の転校生を、クラスメイトは受け入れてくれるだろうか。
残り少ない高校生活を無事に乗り切ったとして、その後はどんな道に進めばいいのだろう。
キヌエは優しいが、その優しさに甘えてばかりもいられない。
バイトを探してお金も貯めなければ。
真志に救われた命を粗末にする気は無いが、生きていく不安が無くなるわけではない。
バスに揺られながら物思いにふけっていると、鈴のスマホのバイブが鳴った。

母からのメッセージだ。
そこには鈴を気遣う言葉と、母の反省が綴られていた。
母から受けた仕打ちは酷いものであったが、やはり母は母だ。
しおらしく謝罪する文面に鈴の心が締め付けられる。
何を返せば…。
ぐるぐるする感情を抑え、指を動かす。
『おはよう』そこまで打ったところで、鈴が返信する前に母からのメッセージが続けざまに着信した。
『あと』と付け加えられたそのメッセージに、鈴の表情が凍り付く。

『あと 今月はお母さん仕事がんばったから もう少しで ダイヤモンド会員に昇格するんだ!
本当にもう少しなの!
佐賀のおばあちゃんにも聖星水、1ケース買ってもらえないかなぁ?』
母の魔の手が大事なおばあちゃんまで巻き込もうとしている。
同級生の母に水を売ろうとした母。
水晶や水を買う為に鈴の預金に手を付けた母。
鈴を風俗に落そうとした母…!!
まだ母に縛られている。
離れたのに、鈴の心は母の闇に囚われている。
鈴の心臓は痛いほどに脈打っていた。
苦しい…上手く息が吸えない…。
あぶら汗が滲む鈴を現実に引き戻したのは、握ったままのスマホに表示された新たなメッセージだった。

真志から届いた1つのスタンプ。
ちょっと不細工なペンギンが拳を前に突き出して「がんばろう!」と言っていた。
真志から届くスタンプは、鈴の心の鎮静剤だ。
毎日1つだけのスタンプ。
空港でのお別れから、鈴は毎日真志にスタンプを送った。
真志に毎日1つだけ送れる特別なスタンプだから、日付を跨いだその瞬間に、逸る気持ちを抑えながら送る。
鈴が送るのはいつも0時を過ぎてすぐ。
真志から返ってくるのはいつも朝の7時頃。
生きていく不安は消えない。
未来の事。
母の事。
けれど、真志がいれば生きていける。
私の心を明るく照らしてくれる灯火。
真っ暗な海に放り出されても、帰ってくる場所はここだよと導いてくれる灯台のように。
「がんばろう」と励ます真志の言葉を噛みしめるように、鈴はスマホを抱き締めた。
To Be Continued
セリフ引用:マンガMee
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