【シンジュウエンド】27話「好き」ネタバレ ストーリー&登場人物│真志と鈴の通話
漫画「シンジュウエンド」は漫画アプリ「マンガMee」で連載のマンガMeeオジリナル作品です。
不倫、死別、晒し、イジメ、家庭崩壊など様々な理由によって死を選ぼうとしたサラリーマンと女子高生の物語で、著者はドラマ化もされた人気漫画「サレタガワのブルー」のセモトちか先生です。
この記事ではシンジュウエンド27話「好き」のストーリーと登場人物を分かりやすくまとめています。
彼らを絶望させた最低の人物、最悪の出来事とは?
どん底に落ちた人生を彼らはどうやり直していくのか?
「シンジュウエンド」の物語を詳しく解き明かします!
「シンジュウエンド」あらすじ
イケメンで爽やかな営業マン・遠藤真志25歳。
社内では若手のエースとして期待され、家に帰ればかわいくて優しい妻と、世界一愛らしい娘が出迎えてくれる。
仕事も家庭も順調そのもの。そんな幸せの絶頂だったある日、玄関に見知らぬ男物の靴があって…?
人生に絶望した男と、人生を諦めかけた女子高生の出会いがもたらす、“終わり”と“始まり” とは――。
『サレタガワのブルー』の著者・セモトちかが描く、読めば“死にたくなくなる”再生の物語。
「シンジュウエンド」27話の登場人物
羽住 鈴(はすみ すず)
18歳 高校3年生
父は交通事故により他界。母と二人暮らし。
毒親化した母親と距離を置く為、佐賀県の祖母宅で新しく生活を始める。
羽住 キヌエ(はすみ きぬえ)
73歳
鈴の父方の祖母
佐賀県で一人「羽住酒店」を営んでいる。
鈴が母元を離れてからは鈴の保護者となり、佐賀県で二人で暮らすようになる。
遠藤 真志(えんどう しんじ)
25歳 サラリーマン。
妻・敦子、娘・未来の3人家族。
妻の自殺により父子家庭となる。
ハーモニー光電 北町営業所に勤務していたが、SNSでの炎上騒動により本社の書類整理三課に異動となった。
遠藤 敦子(えんどう あつこ)
24歳 専業主婦。
夫・真志、娘・未来の3人家族。
愛称は「あっちゃん」
半年前、高校時代の恋人・三崎 コウキと同窓会で再会し、コウキが敦子を口説いたことにより不倫関係に発展する。
コウキとの心中により死亡。
遠藤 未来(えんどう みく)
2歳
父・真志、母・敦子の3人家族
母の自殺により父子家庭となる。
三崎 コウキ(みさき こうき)
妻・三崎 舞華、娘・4歳
敦子の高校時代の恋人
敦子と不倫し、敦子と心中を図ったあげく意識不明の重体に陥る。
ようやく意識回復したものの記憶喪失を発症。
三崎 舞華(みさき まいか)
夫・三崎 コウキ、娘・4歳
SNSフォロワー8万人のインフルエンサー
アカウント名は「ダンシングフラワーマイカ」
「シンジュウエンド」27話のストーリー(ネタバレあり)
シンジュウエンド27話「好き」は、鈴と真志が電話で話す回です。
以下、シンジュウエンド27話のネタバレを含みます。
未読の方はご注意下さいね。
27話「好き」
まさか真志と喋れると思っていなかった。
そんなの心の準備が出来てない。
でも、すごく嬉しい…
空港のあの日から、ずっとずっと、声が聴きたいと思っていた。
嬉しい、嬉しくて…ドキドキして、緊張して、手が震える。
鈴は意を決し、祖母から受け取った携帯を耳に当てた。
「…も もももしもし…!」
鈴が帰宅する30分ほど前、真志は自宅で未来と晩御飯のカレーを食べていた。
記憶喪失…か
意識不明からようやく目覚めたコウキが記憶喪失になっていると聞き病室に突撃したものの…舞華に阻まれコウキとはほとんど話すことが出来なかった。
ただ、コウキは本当に記憶を失くしているようで、真志の事はおろか、敦子の事でさえ何も覚えていないようだった。
敦子を譲って欲しいと真志に土下座までして二人で心中。
その挙句コウキだけが生き残り、身投げの衝撃で敦子の事をきれいさっぱり忘れている。
背負っていた罪も都合よく忘れて、忘れたまま再スタートします、そんなふざけた話があってたまるか。
そう、あっていいわけがない…のだが、
記憶喪失…ねぇ
傍で遊ぶ未来を見守りながら食後の皿洗いをする真志は、これから進むべき道を見定めた。
…もう いいか
舞華はコウキが敦子の記憶を失くした事で元に戻った現状をそっとしておいて欲しいと懇願していた。
真志も、人生を掻き回され、戦い、悩み、心身を消耗していく日々が続いていくのは正直しんどい。
これ以上コウキや舞華、敦子の事を考えても何も生まれないし…どう足掻いたって敦子はもうこの世にいない。
不倫された事は納得できないが、敦子が精神を病んでいた事に気付けなった自分も悪いのだ。
せめて敦子の遺書があれば…どんな思いを抱えていたのか、真志や未来に言い残したい事はなかったのか、敦子の気持ちを知る事が出来れば…少しは救われたのかもしれない。
しかし、今となってはもう知る術は無いし、どちらにせよ心晴れやかに万事解決する事はない。
怒りや悲しみ、割り切れない思い、それらはどうしたって心の中でくすぶり続ける。
そんなモヤモヤした残り火は、これから時間を掛けて自分の中で折り合いをつけながら生きていこう。
そうでもしないとやっていられない。
今はとにかく、未来を守るのが第一優先!
うだうだ悩んだり、ゴタゴタに構っている暇はない。
何せまだ新米のシングルファザーなのだから。
「さーて お風呂入ろうか 未来」
「いや あしょぶ」
食後の片付けを終え未来をお風呂に入れようと思ったが、今は遊ぶのに忙しいらしい。
未来はウサギのおもちゃに跨って、ぽいんぽいんと飛び跳ねている。
うーむ、それならばパパは『お風呂入れオバケ』になっちゃうぞ。
バスタオルを頭に被った真志がドタドタ追いかけると、未来はキャーと嬉しそうにぽいんぽいん逃げ始めた。
「待て待て待てーい」
リビングで父子の微笑ましい寸劇を繰り広げていると、ふいに玄関のチャイムが鳴った。
夜に鳴るチャイムはピザの宅配だとインプットされているのか、未来は「ぴざ?きた?」と目を輝かせたが、さきほどカレーを食べたばかりでピザは頼まない。
となると、考えうるのは宅配便だが何かが届く予定もない。
真志がインターホンのモニターで応答すると、それは郵便配達員による現金書留のお届けだった。
差出人は羽住キヌエ。
佐賀に住む、鈴の祖母である。
未来はまだ遊びたがっているし、お風呂は少しだけ後回しにして真志はキヌエに電話を掛ける事にした。
テレビを見て楽しそうに踊る未来を見守りながらキヌエの携帯を鳴らすと、すぐに通話が繋がった。
真志が鈴の飛行機代をとして支払ったのは1万3千円ほどだったが、キヌエから届いたのは3万円の現金書留だったのだ。
さすがに多すぎるし、そのまま受け取るのははばかられる。
そう申し出たが、キヌエの気持ち分も上乗せされているのだろう、そう言われると断るに断れなくなってしまった。
そのまま話題は世間話へと移り、キヌエのご近所の中村さんが認知症で徘徊している事やキヌエの腰痛の話など、通話が10分を超えた頃…
ちょうど鈴が帰って来たとキヌエに言われ、鈴とも話をする事になった。
未来は踊り終わったのか、今度はお利口に積み木で遊んでいる。
「…も もももしもし…!」
何をそんなに慌てているのか、鈴の開口一番は「も」がやたら多かった。
鈴と話すのは空港以来だ。
久しぶりに鈴の元気な声を聞けて真志も嬉しかった。
キヌエから新しい友達も出来たと聞いていたし、佐賀での暮らしは上手くいっているようだ。
鈴もずっと聞きたかった真志の声を聞き、胸がキュウと締め付けられる。
それと同時に、祖母にも話せていなかった事を真志に聞いてもらいたかった。
鈴は扉を開け、店の外に出た。
実は母から毎日のようにメッセージが届いているのだ。
鈴を気遣う言葉と共に、水やブレスレットを買えだの、金を貸して欲しいだの…。
なぜ鈴が母の元を離れたのか、まったく理解出来ていないのだろう。
離れてもなお、鈴は母に追い詰められていた。
鈴の話を聞いた真志は鈴の気持ちに同調してくれる。
母のメッセージにしんどい思いをしている事、けれど連絡先をブロックするのも難しいだろう事。
真志は鈴が言わなくても分かってくれた。
もちろんスマホの機能としてブロックするのは簡単だ。
けれど…やはり母は母であり、一人暮らしの母を断絶するのは気が引ける。
母からのメッセージがスマホに表示されるたびスマホを握りつぶしたくなるほど苦しいが…
あの家にはもう帰らなくていいのだし、今の鈴には救いがある。
祖母や佑、そして真志。
毎日真志にスタンプを送る事は、何よりも鈴の支えになっていた。
真志のスタンプに励まされていると鈴に言われ、真志も素直に嬉しい。
あの日、あの崖で、鈴を助けて本当に良かった。
死にたかった二人が、「今」を必死に生きている。
鈴がふと上を見上げると、そこには数多の星が夜空に瞬いていた。
佐賀の星はこんなにも綺麗なのか。
感嘆する鈴の声を聞いて真志もカーテンを開けてみたが、東京は地上の光が強すぎて残念ながら何も見えなかった。
すると鈴は名案を思い付いたように、写真を送ってもいいかと真志に聞く。
この綺麗な星空を真志にも見てもらいたい。
う~ん…スタンプがOKなら画像もOKか…?
真志が渋々許可すると、鈴は通話もしたいとお願いを上乗せした。
毎日がダメなら時々でも…!
鈴はここぞとばかりに懇願したが、真志は断固として拒否をする。
鈴にケチと言われたが、そればかりは譲れない。
女子高生と毎日電話している成人男性などキモいだけだ。
10代JKに言い寄る20代サラリーマンなど…絶対に嫌だ。
祖父母は12歳差の結婚だったと鈴は言ったが、それはそれ!と真志は頑なに突っぱねた。
鈴の好意はさすがに分かっているが、それを受け入れろというのは無茶な話だ。
元気な声も聞けたしそろそろ切ると真志が言うと、鈴は押し黙ったのちこう言った。
「……海賊物語 完結したら結婚してね…」
待て待てそんな約束はしていない。
勝手に改ざんするでない。
その約束も、今となっては後ろ向きな約束だったと思うが…あの時はそれで充分だった。
『海賊物語を完結まで読んで、それでもお互い死にたいと思っていたら一緒に死ぬ』
死ぬよりは結婚する方が前向きなのだろうが…いや、そういう事ではないな。
鈴としては結構本気で真志と結婚したいのだが、せめてハタチになった時にはデートくらいして欲しい。
そう真志に伝えると、返事を聞く前に誰かの声が電話の向こうから聞こえて来た。
それは小さな女の子がパパを呼ぶ声。
それに答える真志の声。
鈴はハっとなった。
娘がいるのは知っていた。
真志が娘を溺愛しているであろう事も分かっていた。
けれでこうして実際に目の当たりにすると、真志は父だったのだと、娘にとって真志はパパなのだと、現実を見せられた気がした。
真志の愛を一身に受ける娘。
娘の為に生きる真志。
自分でも何だか分からない複雑な感情が鈴の中に渦巻いた。
娘が呼んでいる、真志が行ってしまう。
鈴が慌てて「またね!」と言うと、真志も「またな」と言って通話が切れた。
通話時間は14分42秒。
キヌエが鈴に携帯を手渡した時にはすでに12分を過ぎていた。
だから実質真志と話せたのは、ものの2、3分だ。
たったそれだけの時間で、鈴の胸はいっぱいになった。
色んな思いが鈴の中に沸き上がる。
成人男性と女子高生の親密なやり取りはキモいと言われた。
融通が利かないのはもどかしいけれど、常識外れな事をしない真面目な所も好きだから困ってしまう…
初めて聞いた真志の幼い娘の声。
パパが大好きなんだろうなって、伝わって来た。
カッコ良くて優しくて、自慢のパパだよね。
私も真志の顔が見たい。
声…やっと話せて、話も聞いてもらえた。
やっぱり声もすごく好き。
もっと色んな事を聞かせてほしいし、毎日お話がしたい。
次話せるのはいつなんだろう。
それまでずっと真志の声を頭の中に残しておきたい。
声が消えて欲しくない。
またねって言ったらまたなって返してくれた。
「また」があるのが苦しいほどに嬉しくて、
その「また」がいつかなんて、分からない関係がすごく辛い。
今、真志と話して、改めて確信した。
好き やっぱり好き
ぜんぶ好き…
通話を終えた携帯を握りしめたまま店先にしゃがみ込んでいた鈴を、キヌエが中に招きいれる。
晩御飯はおでんだとキヌエが言うと、涙と鼻でぐちゃぐちゃになった鈴が振り返った。
そういえば鈴の父も女の子にフラれて同じ場所で泣いていたとキヌエは言ったが、まだフラれてないと鈴は鼻をすする。
まだフラれてない…。
フラれるより、まだずっと前の…。
でも、今告白したって確実にフラれるのは分かっている。
鈴がどうこう以前の問題なのだから。
こんなに好きなのに、どうしようもなく好きなのに…
好きだという気持ちだけでは、今の鈴にはどうする事も出来なかった。
To Be Continued
セリフ引用:マンガMee
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