【シンジュウエンド】16話「捨て猫」ネタバレ ストーリー&登場人物│真志と鈴が見た朝日、早朝の空港
漫画「シンジュウエンド」は漫画アプリ「マンガMee」で連載のマンガMeeオジリナル作品です。
不倫、死別、晒し、イジメ、家庭崩壊など様々な理由によって死を選ぼうとしたサラリーマンと女子高生の物語で、著者はドラマ化もされた人気漫画「サレタガワのブルー」のセモトちか先生です。
この記事ではシンジュウエンド16話「捨て猫」のストーリーと登場人物を分かりやすくまとめています。
彼らを絶望させた最低の人物、最悪の出来事とは?
どん底に落ちた人生を彼らはどうやり直していくのか?
「シンジュウエンド」の物語を詳しく解き明かします!
「シンジュウエンド」あらすじ
イケメンで爽やかな営業マン・遠藤真志25歳。
社内では若手のエースとして期待され、家に帰ればかわいくて優しい妻と、世界一愛らしい娘が出迎えてくれる。
仕事も家庭も順調そのもの。そんな幸せの絶頂だったある日、玄関に見知らぬ男物の靴があって…?
人生に絶望した男と、人生を諦めかけた女子高生の出会いがもたらす、“終わり”と“始まり” とは――。
『サレタガワのブルー』の著者・セモトちかが描く、読めば“死にたくなくなる”再生の物語。
「シンジュウエンド」16話の登場人物
遠藤 真志(えんどう しんじ)
25歳 サラリーマン。
妻・敦子、娘・未来の3人家族。
ハーモニー光電 北町営業所に勤務。
妻の自殺により父子家庭となる。
羽住 鈴(はすみ すず)
18歳 高校3年生
父は交通事故により他界。母と二人暮らし。
羽住 キヌエ(はすみ きぬえ)
73歳
鈴の父方の祖母
佐賀県で一人「羽住酒店」を営んでいる。
「シンジュウエンド」16話のストーリー(ネタバレあり)
シンジュウエンド16話「捨て猫」は、生きる選択をした真志と鈴のお別れと始まりの物語です。
以下、シンジュウエンド16話のネタバレを含みます。
未読の方はご注意下さいね。
16話「捨て猫」
真志の計らいにより祖母と連絡を取った鈴は、明朝飛行機で佐賀に飛び、祖母の元へ行く事になった。
フライトの時間まで鈴は真志の車で過ごし、その間真志は鈴に生きる為の術をアドバイスした。
四面楚歌だとばかり思っていた鈴の境遇は、良識ある大人の助けを得れば解決する問題ばかりだった。
母を捨てる。
転校する。
そんな選択を考えた事すらなかった。
鈴の世界はそこにしか無かったから…。
死んで終わらせるくらいなら、全部捨てて新しく始めればいいんだ。
真志はそう教えてくれた。
今の時代スマホで情報はいくらでも手に入る。
本気で抗おうと思えば自分で調べる事も出来ただろう。
抑圧された世界で耐える事に必死だったとは言え、死ぬしかないと結論付ける事しか出来なかった自分を、鈴は少しだけ恥じた。
長い時間を掛けて親身にアドバイスをくれた真志の話を聞いていると、いつの間にか空が薄ぼんやりと明るんできた。
山あいから朝日が昇る。
それは力強く輝き、新しい始まりを思わせる太陽だった。
真志はこの景色を未来に見せたい、そう思った。
まだ未来は2歳。
今はまだ小さな世界しか見えていないだろう。
けれど世界はどれほど広い事か。
見たことのない景色。
行ったことのない場所。
たくさんの経験。
もっともっと見せてあげたい
たくさんの未来の笑顔が見たいから
俺もまだ死ねない
「そろそろ行くか 空港!送る!」
そう思えたのも、ここで鈴に出会えたからだ。
真志は晴れやかな気持ちのまま、車を出した。
空港は人もまばらで、朝の爽やかな空気が流れていた。
インターネットで購入していたチケットを受け取り、鈴に手渡す。
真志には本当に何から何まで助けてもらった。
彼がいなければ人生を終わらせていたかもしれないし、終わらせられなかったとしても、暗闇の中をもがき歩くような人生だっただろう。
鈴は真志に深く礼を言った。
しかし真志も鈴のお陰で生きたいと思えたのだ。
自殺しようとした者同士というのも変だが、お互い様である。
「出会えてよかった ありがとう」
真志は鈴に右手を差し出した。
真志の力になるような事は何もしていないが…
真志も生きたいと思えたのだろう。
鈴は真志の手を握り返した。
よかった、と言う鈴に、よかったよかったと真志は嬉しそうに笑った。
二人の手が離れ、別れの時間が近付く。
鈴は真志に聞きたかったことがある。
もし投げたコインが裏だったら…
もし祖母と連絡がつかなかったら…
どうするつもりだったんだろう?
真志は少しだけ悩んで答えた。
「んー…どうだろ? 心中エンド?」
心中!?
驚く鈴を尻目に真志は嘘嘘と笑った。
祖母に連絡が取れなかった時は警察に相談して、未成年を保護する施設に繋げただろうと真志は言った。
鈴を守る立場の母親がああなってしまった為に、頼れる大人は周りにいなかったが、鈴が声を上げれば救いたいと言ってくれる大人もたくさんいると真志は教えてくれた。
鈴が頷くと、伝えたい事は全て伝わったと感じた真志は「元気でな!」と鈴に背を向けた。
真志が行ってしまう。
鈴は咄嗟に真志の腕を掴み、連絡先を交換してほしいと呼び止める。
だって真志とは約束したから。
「「海賊物語」…完結まで読んで それでもその時もお互い死にたかったら
一緒に死ぬって 約束した!」
真志と繋がっていたくて咄嗟に出た口実だったのかもしれない。
真志は夢に見た王子様みたいに鈴を救ってくれた。
あの時、すぐに失恋したと思った一目惚れを、まだ終わらせたくない。
一瞬何も言えなかった真志だったが、鈴の願いを受け入れてはくれなかった。
異性の未成年と連絡を取り合うのは、大人として推奨される事ではないだろう。
鈴がいくら食い下がってもダメとしか言ってくれない真志に、鈴は必死に訴えた。
毎日スタンプを1個だけ、お互いが生きている証として送り合う。
会話はしない。
それ以上は踏み込まない。
「それくらいならいいでしょ…?」
それでも真志はYESと答えてくれなかったが、鈴も引き下がるわけにはいかなかった。
「お願い…!
あなたが生きてることも「灯火」にして私がんばるから…!」
これから先、幸せもあれば辛い事もきっとあるだろう。
やっぱり死にたいと思う事だってあるかもしれない。
そんな時に、歯を食いしばる為に、あなたも一生懸命生きていると、場所は離れていても一緒に生きているんだと教えてほしい。
甘ったれで一人よがりな願いかもしれないが、真志が生きている事が、鈴の生きる理由になる。
真志は鈴を生かしてくれた存在だから。
鈴はスカートの端を握りしめ、どうか、どうか、これで終わりにしないでと俯いた。
沙汰を待つようにギュっと目をつむる鈴を見て、真志は根負けしたように溜息をつく。
ここまで真剣に懇願されたら…真志も折れるしかなかった。
「…俺ダメなんだよ昔から
捨て猫とか 懐かれると放っておけないタイプ…」
置いて行かないで、とダンボールの中で鳴く子猫を拾うかのように、真志は鈴の願いをしぶしぶ受け入れた。
スタンプ1個で会話はなし。
それが真志と鈴が繋がる条件だ。
真志は自身のIDを鈴に見せ、強く念押しする。
鈴は震える手で真志のIDを読み込み、スマホに追加された連絡先を見た。
遠藤真志…!
今度こそ帰ると挨拶した真志は、くるりと背を向けて歩き出す。
真志の背に手を振って、鈴は弾む声で「ハタチ越えたらデートして」と笑い掛けた。
巡り合わせのような出会いだった。
すごくすごく変な感じ。
昨日までは本気で死のうと思っていた。
希望も全て奪われて、絶望のどん底で。
でも同時に大切な人ができた。
こんな事ってあるんだ。
お先真っ暗な人生で、生きて大人になる未来なんて描けなかった。
でも今は心からこう思う。
早く大人になりたい。
これから歩む道が煌めいて見えた。
…えんどうしんじ!
鈴は心の中で何度も何度も真志の名を呼んだ。
名前を呼ぶ、それだけで鈴の胸は張り裂けそうにときめいた。
To Be Continued
セリフ引用:マンガMee
次回17話
- ストーリーまとめ一覧
-
フルカラーでユーモアたっぷりに描かれる「シンジュウエンド」の物語はぜひ原作漫画で!