【シンジュウエンド】23話「好きなタイプ」ネタバレ ストーリー&登場人物│佑の気になる相手・池田からの電話
漫画「シンジュウエンド」は漫画アプリ「マンガMee」で連載のマンガMeeオジリナル作品です。
不倫、死別、晒し、イジメ、家庭崩壊など様々な理由によって死を選ぼうとしたサラリーマンと女子高生の物語で、著者はドラマ化もされた人気漫画「サレタガワのブルー」のセモトちか先生です。
この記事ではシンジュウエンド23話「好きなタイプ」のストーリーと登場人物を分かりやすくまとめています。
彼らを絶望させた最低の人物、最悪の出来事とは?
どん底に落ちた人生を彼らはどうやり直していくのか?
「シンジュウエンド」の物語を詳しく解き明かします!
「シンジュウエンド」あらすじ
イケメンで爽やかな営業マン・遠藤真志25歳。
社内では若手のエースとして期待され、家に帰ればかわいくて優しい妻と、世界一愛らしい娘が出迎えてくれる。
仕事も家庭も順調そのもの。そんな幸せの絶頂だったある日、玄関に見知らぬ男物の靴があって…?
人生に絶望した男と、人生を諦めかけた女子高生の出会いがもたらす、“終わり”と“始まり” とは――。
『サレタガワのブルー』の著者・セモトちかが描く、読めば“死にたくなくなる”再生の物語。
「シンジュウエンド」23話の登場人物
遠藤 真志(えんどう しんじ)
25歳 サラリーマン。
妻・敦子、娘・未来の3人家族。
妻の自殺により父子家庭となる。
ハーモニー光電 北町営業所に勤務していたが、SNSでの炎上騒動により本社の書類整理三課に異動となった。
遠藤 敦子(えんどう あつこ)
24歳 専業主婦。
夫・真志、娘・未来の3人家族。
愛称は「あっちゃん」
半年前、高校時代の恋人・三崎 コウキと同窓会で再会し、コウキが敦子を口説いたことにより不倫関係に発展する。
コウキとの心中により死亡。
三崎 コウキ(みさき こうき)
妻・三崎 舞華、娘・4歳
敦子の高校時代の恋人
敦子と不倫し、敦子と心中を図ったあげく意識不明の重体に陥ったが、ようやく意識が回復した。
羽住 鈴(はすみ すず)
18歳 高校3年生
父は交通事故により他界。母と二人暮らし。
毒親化した母親と距離を置く為、佐賀県の祖母宅で新しく生活を始める。
鈴田 佑(すずた ゆう)
高校3年生
鈴の転校先のクラスメイト
あだ名は『リンダ』
神童と呼ばれ、地元では有名な裕福な家の息子。
父はバイクショップ「バイクのリンダ」代表取締役社長。
父には愛人が5人おり、佑は正妻の息子で一人っ子。
愛人たちが生んだ佑の異母兄弟は総勢11人。
佐田山 都(さたやま みやこ)
高校3年生
鈴の転校先のクラスメイト
「シンジュウエンド」23話のストーリー(ネタバレあり)
シンジュウエンド23話「好きなタイプ」では鈴を想う佑の気持ちが膨らんでいきます。
以下、シンジュウエンド23話のネタバレを含みます。
未読の方はご注意下さいね。
23話「好きなタイプ」
祖母に買ってもらったマイヨーヨーで、鈴は練習の成果を佑に披露した。
ヨーヨーの基本的なトリックのひとつ「ブランコ」だ。
満面の笑みで得意げに見せてくれる鈴を、佑は可愛いと思った。
こんな感情は生まれて初めてだった。
女好きの父をずっと軽蔑してきた自分が、女性を可愛いと思う日がくるなんて…。
父と同じには決してなりたくはないが、このフワフワとした気持ちは…存外悪いものではない。
通学のバスの車中、鈴と佑はヨーヨーのトリックを収録した動画を見ていた。
その動画の中に、鈴は気になるシーンを見付ける。
通常は投げた先でヨーヨーが回転し続ける時間はさほど長くない。
しかし、動画ではかなりの時間回り続けていた。
鈴が疑問を口にすると、その動画で使われているのは『バインドヨーヨー』だと佑が教えてくれた。
一般的な誰もが知るヨーヨーは投げたあと手を引く動作で手元に戻ってくる。
しかし、バインドヨーヨーは引いても戻って来ないという特徴があり、ヨーヨーの中に取り付けられたベアリングによって5分や10分も回し続ける事が出来るらしい。
やりたいトリックによって通常の引き戻しヨーヨーを使ったり、バインドヨーヨーを使ったりと使い分けるようだ。
10分も回り続けるとは…。
「あ おっとろし!だ!」
驚いた時に口から出る言葉。
おばあちゃんが教えてくれた、おじいちゃんの口癖。
先日祖母にヨーヨーを買ってもらったばかりだが、そんな話を聞くとバインドヨーヨーも欲しくなる。
色んな技が出来そうで楽しそうだ。
鈴がはしゃいでいると、家にもう使っていない初心者用のバインドヨーヨーがあるからいるか?と佑に聞かれた。
「え まじ!?いいの!?」
「…おう」
思ってもみなかった申し出にテンションが上がり鈴の頬が赤らむ。
花が咲いたような笑顔で鈴からお礼を言われた佑の頬も桃色に染まった。
そんなやり取りをしていると、鈴のスマホのバイブが鳴った。
誰かからメッセージでも届いたのだろうか。
スマホを見る鈴は一瞬真剣な表情になり、そしてすぐに切なそうな微笑みを浮かべた。
その切なさは悲しみからくるものではなく…遠い想い人への恋を噛みしめるような、そして安らぎを享受するかのような、甘酸っぱい表情だった。
鈴の表情はいわゆる恋する乙女の顔。
感じたままのイメージをそのまま言葉にするならば「雌の顔」だ。
佑がそう言うと、いきなりの発言に「雌!?」と鈴は混乱した。
二人は登校し、今は数学の授業中。
窓際の佑は外を眺め、頬杖をついて考え事をしていた。
今朝、バスでの出来事。
鈴のスマホに届いたメッセージ。
鈴が愛おしそうに見ていたメッセージ。
佑はその画面を見てしまった。
メッセージは無く、スタンプだけ送り合っているようだ。
スタンプの送り主は『遠藤真志』。
名前から察するに男、だろう。
そして、その時の鈴の表情は…頬を染め、それはもう雌顔だった。
そういえば以前、「本気で逃げればどうとでもなると教えてくれた人がいる」と鈴は嬉しそうに話していた。
もしかして、それが遠藤真志だろうか?
佑が考え事にふけっている間も授業は滞りなく進み、今は三角関数の応用についてやっているようだ。
解説がひと段落終わり、「このあたりでわからなかったところある人ー」と教師が皆に呼びかけた。
分からない。
そう、分からないこと。
佑は静かに左手を挙げた。
一瞬にして教室中がざわつき、クラス中が一斉に佑を振り返る。
神童と呼ばれる天才でも授業で分からないところが…!?
教師さえも戸惑っていたが、次の問題は難しいし分からなくても無理はないか…と思ったのも束の間、佑はその答えをスラスラと答え、まったく別の質問を教師に投げかけた。
佑が分からなかったこと。
それは「気になる女性に仮に彼氏がいた場合どう振舞えばいいか」、という事。
数学ですらないし、そもそも勉学に一切関係の無い質問だった。
言った本人は涼し気な顔で飄々としているが、「教えてください」と言われた教師は顔を赤くしているし、クラスメイトたちは先ほどにも増してザワつき始める。
おいおいおいおい、数学の授業中にいきなり何という質問をしているのだ。
あとで聞くから落ち着いて、と鈴は佑に小声で伝えた。
落ち着いていないのはクラスメイトたちで佑本人はいつも通りのクールガイであったが、一先ず佑を座らせねば…。
鈴に言われた佑は素直に教師に謝罪をし、席に座った。
クラスメイトたちは佑が謝罪した事により一層ザワつく事になってしまったが、一旦授業は通常運転に戻ったようだ。
クラスの喧騒が収まらぬ中、佑と鈴の一連のやり取りを後ろから見ていた女生徒が都に耳打ちをする。
リンダの気になる子って羽住さんかな?
この2人ずっと一緒にいるよね
リンダも珍しく心開いてる感じするし、カップル誕生フラグ…!?
今こうしている間も佑と鈴は仲良くお喋りをしている。
女生徒が小声で話すのを聞きながら、都は二人の後ろ姿を複雑な面持ちで見つめていた。
チャイムが鳴り、ようやく昼休みだ。
鈴がお弁当を取り出すと、都たちが一緒にお昼を食べないかと誘ってきた。
声を掛けてくれたのは嬉しい…けれど…
確か初日に「何でこんな時期に転校してきたのか」と鈴にズケズケ聞いて来た人だ。
クラスメイトとは仲良くしておきたいが、都の最初の印象はあまりよくない。
鈴がどうしようかと迷っていると、突如伸びた手が鈴のお弁当袋をむんずと掴んだ。
「悪いな 佐田山
羽住(コイツ)は俺と食べる
話があるから
行くぞ羽住」
有無を言わさぬ佑の言葉に「ごめんね誘ってくれて嬉しかった」と都に声を掛け、鈴はそそくさと佑の後を追った。
いつもの屋上で鈴と佑は昼食をとった。
鈴はお弁当を食べながら、パウチのゼリー飲料を飲む佑に気になっている人とはどんな相手かと聞いたが、佑は答えなかった。
佑が気になっている相手は目の前にいる鈴なのだが、当の本人はまったく気付く様子もなく、彼氏がいる子が気になっているんだ?と佑の恋バナに目を輝かせている。
佑としては、鈴に彼氏はいるのか、遠藤真志は彼氏なのか、まずそこが知りたいのだが…。
まさか自分の事だとは思っていない鈴はウキウキと佑の恋の話に盛り上がり、相手の好きなタイプは聞いた?と助言する。
私だったら好きな人の好きなタイプに全力で寄せる!と鈴は楽しそうだ。
鈴には好きな人がいる。
相手はもちろん遠藤真志。
真志のスマホにチラリと見えた亡くなった奥さんの写真。
彼女はロングヘアーの似合う女性だった。
だから鈴は今髪を伸ばしている。
「相手の好きなタイプに寄せる」と提案された佑は、屋上で鈴と出会った時の事を思い出した。
そういえば鈴に「メガネと髪型で損している」と言われたのだった。
佑はメガネをそっと外し、思案した。
ならばメガネを外し髪型を変えれば鈴にとって得になる、という事か。
そちらの方が鈴の好みに近いのならば…鈴の助言通り相手の好みに寄せてみるのも良いかもしれない。
いつものように重苦しい空気が流れる「書類整理三課」の室内。
真志の手はテキパキと動いていたが、無心という訳にはいかなかった。
なぜなら、真志の脳内は医師から聞かされた敦子の相談内容で頭がいっぱいだからだ。
『夫は何をしても完璧だが、それに比べて自分は育児も家事も要領が悪い。
専業主婦をさせてもらっているのに病んでいる自分にイラついて自己嫌悪で死にたい。
その上に夫以外の人に恋をしてしまった。』
敦子の鬱は不倫が要因で、真志の夫としての完璧さが更に鬱に拍車を掛けていた…
などど誰が思うであろうか。
世の主婦たちの悩みは、夫が育児に参加しない・家事を手伝わない・やったつもり・休日くらい休ませてくれよ・仕事なんだから仕方ない……
そういう不満じゃないのか…!?
敦子は控えめで可愛らしい性格だと思っていたが、元来の自己肯定感低めなところに真志の完璧さが敦子を追い詰めていたは…。
それにしたってどうにも納得できないが、敦子が悩んでいた事に気付けなかった自分が一番悪いのだ。
真志の行動が鬱を悪化させていたと言うのならば、一緒にいる間、敦子の表情に影が落ちていることに気付くべきだった。
敦子がいなくなってしまった今、悩んだところで結果は変わらないが…真志は考えずにはいられなかった。
ホッチキスを止め終えた資料を一つに束ね、真志は勢いよく席を立った。
よっし!
「今日の仕事(ノルマ)終わったので!!
他部署のヘルプ業務ないか 遠藤 会社回ってきます!!」
淀んだ空気を切り裂くように、真志は声高に宣言し歩き出す。
書類整理三課の先輩、山下が焦ったように真志を呼び止めたが真志は制止を振り切って部屋を出た。
ホッチキス止めやシュレッダー、たったそれだけの作業を終えたらあとは定時まで静かに座っておく事。
それが書類整理三課の仕事で、それ以上でもそれ以下でもない。
この部署において会社が望んでいるのはたったそれだけだ。
不祥事を起こし首の皮一枚繋がった社員たちが余計な事をすれば、いよいよクビを言い渡されるかもしれない。
山下はそう言ったが、真志はそれでも「仕事」がしたかった。
会社に貢献し、家に帰ったら娘に「今日も精一杯全力で頑張った」と胸を張って報告したい。
部署を飛び出た真志は自主的に車内を回り、荷物運びから蛍光灯の交換、パソコン操作の指南、さらにはトイレ掃除まで、己ができる事を探しては首を突っ込んだ。
とにかく自分がやれる事を片っ端から手伝ったが、周りの「普通」の社員からすれば余計なお世話だったかもしれない。
不祥事社員が出しゃばって、とウザがられているかも…。
真志はトイレブラシを片手に小便器を擦りながら、やりすぎたかとふと我に返る。
敦子も「完璧じゃないコウキの方が合っている気がする」と医師に話していた。
悔しい。
真志は奥歯を噛みしめた。
完璧を目指して清く正しく真面目に生きてきた。
なのに敦子はコウキ選んだ。
人間の出来ていないコウキを選んだのだ。
しかも、まだコウキの意識は戻っていない。
離婚して敦子と一緒になりたいとあれだけ懇願していたのに、選んだ結末は心中だなんてふざけてる。
コウキが起きたら…まずは思いっきりぶん殴ってやりたい。
便器の前でしゃがみ込み洗剤を握り締めていると、真志のスマホのバイブが鳴った
それは池田刑事からの着信だった。
池田は敦子の葬儀準備をしていた日、斎場で真志に声を掛けてきた刑事だ。
敦子とコウキが飛び降りた日の様子などを真志に教えてくれ、この心中には気掛かりな事があると池田は話していた。
何か捜査に進展があったのかもしれない。
真志が急いで電話に出ると、池田から驚くべき報告を受けた。
なんと三崎コウキの意識が戻ったと言うのだ。
すぐさま池田は事情聴取に向かったが、新しい情報は何も得られなかったらしい。
なぜなら、コウキは記憶をすべて忘れていたのだ。
頭部外傷による記憶喪失。
ようやく意識が戻ったと思ったら、コウキは何も覚えていなかった。
敦子と心中した事すら…。
To Be Continued
セリフ引用:マンガMee
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